押さえておくと開院後に失敗しないで済むかもしれない、美容クリニック開業時のポイントをゆるく解説していきます。
第1話はこちら

第2回は「やることリスト一挙公開」の巻!



美容クリニックが大好きなわしが後悔しない開業方法を伝授するのじゃ
独立開業を目論んでいる美容クリニック勤務中の先生や一般人
美容クリニックを開業するまでにやること一覧
個人クリニック開業に必要な作業は
- 役所(保健所・消防署)の手続き
- 物件の契約
- 内装工事
- 設備・機器類の調達
- 家具・家電類の調達
- 採用(求人の申し込み、採用、トレーニング)
- 契約書(雇用契約、治療同意書など)の準備
- 取引先の選定と契約(医療廃棄、一般ごみ、医療ガス、診療材料など)
- 集客
大まかにわけても9項目をやり切らないと開業できないので必要なタスクを洗い出してリスト化することをお勧めします。これに加えて借り入れが必要なら資金調達も加わります。その場合は確実に事業計画書の作成も必須になるのでさらにやることが増えます。



はっきりゆうて自力でやり切るのは大変じゃ
診療所開設に必要な役所(保健所・消防署)の手続きとは
美容クリニックを開業するには保健所への届け出(要検査)が必要です。消防署は業種に関係なく物件を借りる時に必要な届け出(要検査)です。どちらも検査を受けて合格しないと営業できないので、業者に任せっきりにするとやり直し追加工事が発生したり、それに伴う開業遅延が起きたりするので気を付けてください。
役所への相談や書類の提出は誰がやっても大丈夫ですが、保健所の立ち合いだけは自分(院長)でやる必要があります。
役所関係の主なタスク
役所関係のタスク | 消防工事前図面確認 |
役所関係のタスク | 消防申請・立会い |
役所関係のタスク | 防火管理者の選任・届出 |
役所関係のタスク | 保健所申請 |
役所関係のタスク | 保健所立会い時に必要な掲示物の準備 |
役所関係のタスク | 保健所立会い |
役所関係のタスク | 医療機関情報システムに登録 |
自治体によって設備要件や申請時の書類様式が若干違うので、開業予定地を管轄する保健所に確認しに行かないと美容クリニック開業直前に失敗に気づくことになるかもしれません。
この時点で内装業者が決定していたり開業支援の契約が終わっていれば確認代行してもらえると思いますが、何も決まっていない状態で支出が絡む契約を交わすのは焦りに繋がるので得策ではないと思います。
建築基準法とは別に消防法に準拠しているかどうかを建築完了後に立ち合い確認してもらう必要があります。建築完了とするタイミングには阿吽の呼吸がないと理想のクリニックが完成しないこともあるのでご注意ください。
物件によっては防火管理者の選任が必要なビルがあります。採用予定の人材の中で資格を持っている人がいれば追加で取得する必要はありませんが、暇をつくって自分で持っておくと職員退職時に困りません。
防火管理とは、火災の発生の防止と火災の被害を最小限に止めることを目的として、「普段、誰が何をしたらよいのか」、「万一火災が発生した場合にどうしたらよいのか」を消防計画に定め、日常の火気管理や避難施設の管理、消防用設備等の維持管理、火災に備えた消火訓練や避難訓練を行うものです。
https://www.fesc.or.jp/ihanzesei/owner/index04.html
- 出勤人数+来院者の最大収容人数が30人を超える物件を借りた場合、防火管理者の選任が必要になります。
- 防火管理者が誰もいない状態では営業許可が下りません。
火災報知器の設置確認などもあるので事前調査から書類の準備まで内装業者が手伝ってくれますが、防火管理者の選任と各種書類の作成は自分でやる必要があります。図面の添付が必要なので建築がある程度進んだタイミングから関わるタスクです。
必要書類を揃えて立入検査を受けます。
当日は管理医師(院長)の同席が必要です。
開設申請書と似たような書式の書類です。確定事項を記入して提出します。
保健所、消防双方とも副本をもらいます。(書類は2部作製します)
美容クリニック物件の契約に必要な検討事項とは
物件探しは苦戦するかもしれません。不動産屋探しも苦労します。
必要な検討事項の一例
物件契約タスク | 診療メニューの想定 |
物件契約タスク | 必要設備の想定 |
物件契約タスク | 要件を満たす物件の紹介 |
物件契約タスク | 資金確保 |
物件契約タスク | 保証人の調整 |
物件契約タスク | 契約調印 |
保証金や手数料などを含めると月額賃料の10ヶ月分ぐらいは契約時にかかります。
契約から内装工事や申請手続きなどで6ヶ月以上かかる期間は売り上げもありません。開業後も3ヶ月は赤字の可能性が高いです。運転資金まで含めると1億円ぐらいあっても余力があると考えない方が良いです。
物件の面積が問題なくても空調設備や使用可能な電力量などビルのスペックが足りないことは結構あります。
不動産屋も内装業者もそこまで気にしてくれないので、自分で計算・確認しないと開業直前に後悔するかもしれません。
賃料値下げ交渉をする、フリーレントを付けてもらう、など交渉するだけしてみましょう。
このあたりはマンション賃貸と変わりません。
美容クリニックの内装工事のポイントとは
美容クリニックの内装工事は経営方針によって質素なパターンもあれば豪華なパターンもあるので予算相場がありません。一度作ったら退去するまで使い続けることになるので、今後の計画(増床移転を目論んでいるなら質素にするとか)を考えて予算を決めないと無駄が多く出ます。
内装工事の相場
面積でも単価が変わるので正確ではないですが、40万~70万円/坪ぐらいはかかります。
空調設備の新設・移設などのC工事があるともっとかかるかもしれません。
※C工事(ビル指定業者使用の工事)
必要な検討事項の一例
内装工事タスク | 診察室・処置室・カウンセリング室などの数を決める |
内装工事タスク | それぞれの部屋に何を置くのか決める |
内装工事タスク | 受付・待合の広さを決める |
内装工事タスク | 顧客導線・スタッフ導線を考える |
内装工事タスク | 業者を選定し発注する |
内装工事タスク | 消防・保健所の要件に確認する |
設備・機器類の調達
オペ設備は工事スケジュールに組み込む必要があるので内装業者も混ぜて設備業者と調整します。
レーザーなどの機器類は内装工事中に届くと邪魔なので開業直前~開業後まで納品されないように手配します。
電源プラグの形状が海外仕様のものが多いので工事前に確認しておきます。メーカーがプラグ変更してくれる場合もあります。
必要な準備の一例
設備・機材例 | 後付けタイプではない防犯カメラ |
設備・機材例 | ALSOKなどの警備システム導入 |
設備・機材例 | 点吊りや配管が必要な設備(据え付け型無影灯や排気設備など) |
設備・機材例 | レーザー、サイコリッチ、滅菌機などの購入 輸入機器は開院3ヶ月以上前に買わないと間に合いません |
家具・家電・備品類の調達
内装工事で準備しない・できないものは結構あります。
楽天やアマゾン
採用
いま勤めている先でスタッフを引き抜く行為はマナー違反ですが、大抵の先生はやってます。
必要な作業の一例
採用労務タスク | 雇用条件等の詳細決め・書面化 |
採用労務タスク | 職安・人材紹介会社登録 |
採用労務タスク | 採用活動 |
採用労務タスク | 研修 |
契約書・その他書類の準備
採用時の契約書もあれば、診療契約の書類(治療同意書)、返金時の書類など運営上必要な書類はいろいろあります。
書類の使い方、運用ルールを予め決めておかないとスタッフは動けず毎回聞かれることになります。



事件が起きてから考えたり相談していると患者さんが怒るのじゃ
必要な書類の一例
書類作成タスク | 雇用条件確認書 |
書類作成タスク | 治療同意書 |
書類作成タスク | 未成年者治療同意書 |
書類作成タスク | 解約、返金関連の書類 |
書類作成タスク | 売上台帳(オペレーションによる) |
書類作成タスク | 予約台帳(オペレーションによる) |
書類作成タスク | 棚卸台帳 |
取引先の選定・契約
保健所申請時の書類には明記されていませんが、ほぼ必ず医療廃棄の契約を確認されます。保健所で業者の候補を斡旋してもらうのが手っ取り早くておすすめです。
診療材料などの入手先は知りあいを頼らないと信用不足で取引を断られる可能性があります。
最初のうちは取引条件が悪いかもしれませんが、契約できるところで実績を積んでください。
信販会社とクレジットは別です。
またどちらも美容系は条件がかなり厳しいです。
必要な検討事項の一例
取引先選定・契約 | 診療材料の入手先検討 |
取引先選定・契約 | 医療ガスの入手先検討 |
取引先選定・契約 | 医療廃棄の依頼先検討 |
取引先選定・契約 | クレジット契約・信販契約 |
取引先選定・契約 | カルテ・予約システムの検討 |
取引先選定・契約 | ダスキンなど |
取引先選定・契約 | 医療アスクル、アマゾンなど |
集客
地域と診療内容、これまでの実績などでやり方がぜんぜん違うので予算感も何もありませんが、広告をしないとやっていけない前提で予算は組んでおいた方がいいです。
項目 | 予算感 |
---|---|
美容クリニックらしいHPの制作 | 100万円以上 |
WEB集客用のサイト(いわゆるLP) | 1テーマ30万円以上 |
検索広告出稿など | 月100万円以上 |
SNSの運用代行 | 月30万円以上 |
Youtube動画の制作 | 1本10万円以上 |



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